近年、BCP(事業継続計画)の必要性が広く認識されるようになり、多くの企業がBCP策定に取り組むようになってきました。しかし一方で、「BCPを作ったのに、実際には機能しない」という企業が少なくないのも現実です。
では、なぜそのような状況が起こるのでしょうか。

〈「作ること」が目的になっている〉
最も多いのが、「BCPを作ること自体」が目的になっているケースです。
例えば・補助金申請のため・取引先から求められたため・認定取得のため
など、本来の目的である「事業継続」ではなく、“書類作成”がゴールになってしまっている企業です。
もちろん、策定すること自体は重要です。しかし、実際に災害が起きた時に機能しなければ、そのBCPは存在しないのと同じです。
BCPは“作って終わり”ではなく、「実際に使えるか」が最も重要なのです。

〈訓練をしていない〉
もう一つ非常に多いのが、「訓練をしていない」ケースです。
どれだけ立派なBCPを作っていても、実際に訓練をしていなければ、有事の際に人は動けません。
とはいえ、経営者に怒られないように、全て問題無いことを前提としたシナリオに基づいた台本を作成し、参加メンバーが台本を読み上げる訓練(私たちは「寸劇」と読んでいる訓練)は論外ですが、意外とこのケースが多いのも事実です・・・。

・誰が指示を出すのか・何を優先するのか・どこへ連絡するのか・代替手段はあるのか

これらを“頭で理解している”ことと、“実際に動ける”ことは全く別です。
災害時は平常時とは異なり、情報不足・混乱・焦りの中で判断を迫られます。だからこそ、平時からの訓練が重要なのです。

〈社内共有されていない〉
BCP担当者や経営者だけが内容を把握していて、現場社員が何も知らないというケースも少なくありません。
しかし、実際に会社を動かすのは現場です。
災害発生時、社員が
・どのように行動するのか・何を優先するのか・誰に報告するのか

を理解していなければ、組織として機能しません。
BCPは“会社全体で共有されて初めて意味を持つ”ものです。

〈「実際に動けるか」という視点が抜けている〉
機能しないBCPに共通しているのは、👉 「実際に動けるか」という視点が不足していることです。
例えば、

・停電したら本当にそのシステムは使えるのか・担当者が出社できなかった場合はどうするのか・取引先が被災した場合の代替手段はあるのか

など、現実的なシミュレーションが不足しているケースが多く見られます。
BCPは“理想論”ではなく、現実的に機能する内容でなければ意味がありません。

〈BCPの本当の価値とは〉
私はこれまで数多くの災害現場を見てきましたが、事前に準備し、訓練し、社内共有ができていた企業ほど、復旧が早く、混乱も少ない傾向がありました。
逆に、書類だけ存在していた企業ほど、有事の際に対応できず、結果として事業停止が長期化するケースも少なくありません。
BCPの本当の価値は、“書類を作ること”ではありません。
👉 「有事の際に企業を止めないこと」
です。
もし現在、

・BCPを作ったまま見直せていない・訓練を実施できていない・本当に機能するか不安がある

という場合は、一度BCPの“実効性”を見直してみてはいかがでしょうか。

そのBCP、本当に有事の際に機能しますか?